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ナムジャイブログ
泰国春秋 第二十回 星読み探し

2009年11月27日

星読み探し

タイに来て一度はやってみたいと思いつつ、何となくためらってしまい実現していないのが「タイ占星術」による鑑定を受けることである。
第一が言葉の問題。タイ語で我が人生の機微をとうとうと説明されても、おそらく全部は理解できない。英語や日本語で話せる人もいるかもしれないが、なかなか微に入り細を穿つ解説や、質問への受け答えができないのではないか、という不安があって躊躇する。そして、第二が「どの程度、星を読む技術があるのか」という点だ。日本でもそうだが、星読みの技術が「スゴイ!」という人には、滅多に会えないからである。
以前もチラッと書いたが、筆者は実は、占星術をコッソリ本格的に研究し始めてからまもなく四半世紀になる「占星術オタク」なのである。ちなみに占いオタクではなく、あくまで星を読む技術を学ぶことにウットリとする、ちょっと怪しいタイプだ。鑑定を受ける理由も将来を知りたいというよりは「どんなシステムで、分析で星読みが成り立っているのか」という極めてマニアックな興味からくるのである。だが普通の占星術師はそういうことを聞かれたくない。だから同業者になって仲良くなるなど、つまり「向こう側」に行かないと技術的な話は聞けないような気がしている。
タイ占星術のベースは、ほとんどインド占星術なのだと思う。占星術で使う黄道12星座(宮)の呼び方だが、インドでは牡羊座(白羊宮)を「メーサー」といい、牡牛座(金牛宮)を「プルッサパ」、双子座(双児宮)を「ミトゥナ」と呼ぶ。お気づきの通り、それぞれがタイ語での4月、5月、6月の呼び名を構成しており、この一事だけでもインド占星術との関連の深さが分かる。4月半ばに「ソンクラン」のタイ正月を祝うのも、黄道をめぐる太陽が魚座(双魚宮)から牡羊座に入る瞬間、つまり春分点に入る時点を占星術では「新年」とするところから来ている。
では、タイ占星術に「プラシュナ」はあるのか。インド占星術のプラシュナとは、質問者の相談を占星術師が理解した時点でのホロスコープを基に、相談の行方がどうなるか、質問に対してイエス、ノーを判断する手法だ。西洋占星術では「ホラリー」と呼び、やり方は一緒。これが「正しくできる」という占星術師は世界的に少ない。「今月の星占い」を書いている人や、マスコミに取り上げられる有名な占星術系の人々でも、ほとんどが知らないか、知っていても正しい判断を下せない人が多い。
例えば以前、インターネットに星占いを書いているプロから「定期券をなくした。どこにある? 返ってくる?」という質問を受けたことがある。自分では判らないから、という。この時、ホロスコープが示す定期券の表示体は水星だった。水星は蠍座にあり、濡れてドロドロした状態や場所を示していた。家からさほど遠くない場所で、人通りの多いところ。また水星は(地球からの見かけの動きが)逆行しており、持ち主の手に戻ることを暗示していた。「駅で拾われ、尋ねれば戻る。でも、泥とか足跡で汚れているよ」と回答したら、その通りだった。雨の日の駅の雑踏で落としたのである。
こうしたことがタイ占星術でもできるのか。また、タイでは護符のような凶事を除ける術が発達していると聞いたことがあり、これがインド系なのかチベット系なのかといった、まったく興味のない人にしたら「どーでもいいじゃん」というところが筆者は非常に気になるのである。
また7月22日には日本で皆既日食が見られるが、占星術でも日食や月食は国家社会の趨勢を占うのに極めて重要な天文イベントとされている。その日になにかが起こると言うことでなく、東の空(つまり朝方)に見られれば半年以内に、西の空(日没)なら1年半以内に、とかいった感じで、しばらくしてから関連する事象が起こると言われる。これもタイ占星術ではどうなのか、天下国家の安寧に効く護符やまじないがあるのかどうかなど、激しく気になるのである。「しょーもな」とお思いでしょうが、どなたかそういう説明をしてくれる博識なタイ占星術師をご存じでしたら教えてください。


三河正久(みかわ・ただひさ)日本経済新聞社バンコク支局長
1967年5月青森県八戸市生まれ。1992年日本経済新聞社入社。同社産業部や『日経ビジネス』編集部で企業取材を担当。2007年3月から現職。共著に『ゴーンが挑む7つの病|日産の企業改革』『トヨタはどこまで強いのか』など。尊敬する日本の占星術師に「星はウソをつかないが、人間はウソをつく」と言われ、感じ入ったことがある。相談する方も「自分の見たい世界を見る」ことが多いので、占うって本当に難しい。だから研究に専念している。
Posted by Webスタッフ at 19:52